自宅に眠っている日本刀や刀剣があるものの、処分の方法がわからない人は多いのではないでしょうか。
この記事では自宅で不要になった日本刀や刀剣があるという人に向けて、それらを売る時のポイントを紹介します。
少しでも日本刀や刀剣などの不用品を高く処分したいのであれば、ぜひチェックしてみてください。
日本刀・刀剣の買取相場一覧表
ここでは代表的な日本刀などの買取相場を一覧表にして紹介します。
ここで紹介する日本刀はごく一部であり、ここに掲載されていない日本刀であっても十分高く買取してもらえる可能性があります。
▼日本刀・刀剣の買取相場表
名称 | 無銘・在銘 | 作者 | 買取相場 |
---|---|---|---|
三笠砲鋼製短剣 | 在銘 | 堀井秀明 | 8万円~10万円 |
御宝刀(藤原貞広作) | 在銘 | 藤原貞広 | 20万円~50万円 |
大和守藤原正則 | 在銘 | 藤原正則 | 3万円~8万円 |
九州肥後同田貫藤原正国 | 在銘 | 藤原正国 | 8万円~12万円 |
豊州小倉住大和守藤原宣貞 | 在銘 | 藤原宣貞 | 40万円~50万円 |
短刀 | 無銘 | – | 5千円~5万円 |
模造刀 | 無銘 | – | 0円~千円 |
代表的な日本刀の買取相場について簡単に紹介しました。
在銘、無銘で大きく買取価格に差が開いてしまうのが特徴です。
ただ、無銘刀というだけで買取不可になってしまうわけではなく、刀の出来次第で買取価格が変わるようです。
買取相場の高いおすすめの日本刀・刀剣
ここからは先程の買取相場表の中でも紹介した高値で買取が期待できる日本刀についていくつか紹介していきます。
各刀の特徴や買取相場についても簡単に紹介するので、日本刀の買取相場をざっくりと把握したい方はぜひ目を通してください。
三笠砲鋼製短剣
三笠砲鋼製短剣は、日露戦争で活躍した戦艦、「三笠」の後部主砲鋼材を主な素材として制作された短刀で、三笠刀の名称で親しまれています。
制作にあたったのは日本でも屈指の刀匠として知られる堀井秀明一門で、三笠の活躍を記念する三笠刀は人気を呼びました。
その人気は未だに衰えることがなく、短剣に関わらず10万円前後で取引されています。
御宝刀(藤原貞弘作)
日本刀というと一般的に戦で用いられるイメージが先行しますが、「御宝刀」はその名の通り、刀匠が家宝として制作したものです。
藤原家は岐阜県関市の刀匠としてその名を広く知られ、その藤原家の「御宝刀」なので、日本刀愛好家からは高く評価されています。
そのような作品は当然買取価格も高くなる傾向にあり、大小セットで50万円前後で買い取ってくれるケースもあります。
大和守藤原正則
山城国の三条由則の末裔にあたる藤原正則は、父の則光から作刀に関する技術を学び、その後松平秀康に召し抱えられました。
この刀の特徴はなんといっても彫物にあり、倶利伽羅龍を大胆に掘り上げたセンスは現代に通じるものがあります。
買取価格は10万円に迫るケースがあり、刀の状態が良ければ10万円超えもありうる名刀です。
九州肥後同田貫藤原正国
同田貫とは、肥後国菊池(現在の熊本県)の同田貫を本拠とした刀工の集団であり、江戸時代に活躍し、加藤清正お抱えの刀工集団とした一説があります。
同田貫の特徴は他の刀と比較して装飾がシンプルなことで、そのため美術品としての価値はそこまで高く見いだされていませんが、買取価格は他の刀と比べて大きな開きはなく、10万円前後で買取されています。
豊州小倉住大和守藤原宣貞
豊州小倉住大和守藤原宣貞は、戦国武将としてその名を広く知らしめた細川忠興が召し抱えた刀工である大和守宣貞が制作した十文字槍です。
十文字槍の刀身は美しく光り輝き、美術品としての価値はもちろん、制作当時の実用性の高さを感じさせます。
買取価格は場合によっては50万円に迫ることもあり、日本刀の中では特に高値でやり取りされる種類の1つです。
日本刀・刀剣の価値を決めるポイント
自宅に眠っている日本刀とはいえ、できるものなら少しでも高く買い取ってもらいたいものです。
ここでは日本刀や刀剣の価値はどのようにして決まるのか、それをポイントごとに解説します。
日本刀・刀剣のランク
日本刀や刀剣にもランクという概念があり、そのランクは「切れ味」と「出来の良さ」を基準としていました。
「切れ味」の場合は最上大業物、大業物、良業物、業物という順番に並べられ、「出来の良さ」は最上作、上々作、上作、中上作の順に並び、それぞれのランクが上であればあるほど、日本刀や刀剣の買取価格は高くなります。
制作年代
どの時代に制作されたかも日本刀や刀剣の買取価格を大きく左右させる要素です。
一般的に古ければ古いほど評価されて高値が付きますが、古すぎて保存状態が著しく悪いものは買取価格を下げられてしまう可能性があります。
刀は制作年代ごとに呼び名が変わり、新しい順から「現代刀」、「新々刀」、「新刀」、「古刀」となります。
刀剣史の区分 | 時代 |
---|---|
古刀 | 平安~安土桃山 |
新刀 | 江戸前期~中期 |
新々刀 | 江戸末期~明治 |
現代刀 | 大正~現在 |
さらに詳しい年代は、
- 古刀:平安時代末期~1595年
- 新刀:1596~1780年
- 新々刀:1781~1876年廃刀令まで
- 現代刀:1876年~現在
です。古刀より前の時代の刀剣は上古刀と呼び、日本刀ではなく刀剣と呼んで区別します。
作者や流派
日本刀や刀剣の価値はそれ自体の出来に加え、誰が制作を行ったによっても左右されます。
特に村正や正宗などの高い人気を誇る名工が手掛けた日本刀や刀剣は高値で取引されています。
ただし、無名の刀鍛冶が手掛けた刀であっても、刀そのものの作りが良ければ当然買取の対象になりますし、場合によっては高価買取が期待できます。
鑑定書の階級
日本刀や刀剣にも他の美術品と同様に鑑定書が発行されていますが、その鑑定書に記載されている階級(ランク)によって買取価格が変化します。
ランクは高い順から「特別重要刀剣」、「重要刀剣」、「特別保存刀剣」、「保存刀剣」の4つに分かれ、特に特別重要刀剣として認められるような日本刀は非常に高値で買取してもらえる可能性があります。
無名と在銘では価値が変わらない
日本刀には製作者の名前や製作地が刻まれているものがありますが、これを在銘と言い、特にそれらの表記がない場合は無銘とされます。
在銘の日本刀は、その日本刀がどのようなものか鑑定しやすいので高値が付く傾向にあり、一方で無銘の刀は鑑定しにくいため買取価格は抑えられる傾向にあります。
ただ、無銘の刀だからといって品質が悪いわけではなく、無銘の刀であってもしっかりとした作りの刀はたくさんあり、そのような刀はある程度高値で買取してもらえます。
本体の状態
高価買取を期待できる日本刀でも、本体の状態が査定額に影響するため、ダメージの大きい刀剣は査定額が下がる傾向にあります。
日本刀・刀剣に見られる疵を簡単に紹介します。
錆び
錆びが発生すると、初めは小さくても広がってしまうため早めの対処が必要です。
しかし日本刀の錆びは素人が落とそうとすると本来の価値を下げるので、日本刀専門の研師に錆び落としを依頼しましょう。
修繕費用は5万~7万円ほどかかります。
刃こぼれ
刃こぼれは刃の一部に欠け欠けがある状態を指します。長い間手入れしていないと発生しやすい疵です。
烏口・横切れ
烏口は刃の切先にある亀裂、刃切れは刃の横側に入った亀裂のことで、使うと刃が欠けやすいためどちらも実用において致命的な疵です。
鑑賞目的の場合は問題がないものの、査定額は大幅に下がる可能性があります。
棟割れ・縦切れ
棟割れと竪割れは刃を鍛錬したときにつく疵で、折り返しての鍛錬が足りないとできることがあります。
撓え(しなえ)
撓えはしわが寄ったように見える疵で、鍛錬の最中に異物が入り込んでできます。
ふくれ破れ
ふくれ破れは、鍛錬で折り返すときにうまく接着できず空気が入り、水ぶくれができて小さな穴のあいた疵です。
日本刀・刀剣を売るときに必要なもの
通常の美術品と異なり、日本刀や刀剣を買い取って貰うときには用意しなければいけないものがあります。
それが、「鉄砲刀剣類登録証」です。日本では銃刀法の関係で、この登録証が交付されていない銃刀は所持することも、そして買取してもらうこともできません。
所持している日本刀や刀剣の登録証の名義が自分以外になっていたら、できるだけ速やかに名義変更を行うことが大切です。
また、登録証以外には身分証明書が要求されます。
自宅で日本刀を発見したときの対処法
自宅で日本刀を見つけた場合、初めに鉄砲刀剣類登録証または鉄砲刀剣類所持許可証の有無を調べましょう。
日本美術刀剣保存協会発行の鑑定書がついていても、それは登録証ではありません。しかし、登録証の番号と教育委員会が記載してある可能性があります。
登録番号があれば新規登録ではなく再発行で済むため、鑑定書だけの場合も保存しましょう。
登録証・許可証がなく鑑定書も見当たらない場合、最寄りの警察署へ刀剣を発見したと連絡し、その刀と印鑑を警察へ持参して手続きします。
手続きは都道府県によって異なりますが、発見場所の確認とその後警察署から発見届けの交付を受けます。
次に教育委員会へ連絡し、警察署で刀剣の発見届を受け取ったと伝えると、登録審査委員会の場所や日時、持ち物などを教えてくれます。
登録審査会当日は、警察で受け取った書類・刀剣などの書類を持参し、教育委員会の判定を受けて登録書を取る流れです。
登録書の発行が済むと、刀剣は買取に出せる状態になります。
日本刀・刀剣をなるべく高く売却するコツ
自宅で眠っている日本刀や刀剣を少しでも高く買取してもらいたい方のために、ここでは売却時のコツを紹介します。
簡単に実践できるものが多いので、高価買取を狙っている方はぜひ参考にしてください。
錆びないうちに売却する
日本刀や刀剣は基本的に鉄を素材としているため、丁寧に、かつ継続的に手入れをしないと最終的に錆びてしまい、価値を大きく下げてしまいます。
自宅で保管し続けるつもりがない日本刀や刀剣は早めに査定に出してしまうことにより、価値の低下を防ぐことが重要です。
もし日本刀や刀剣が錆びてしまった場合、修復費用がかかってしまいます。
鑑定書や刀装具をセットにする
日本刀や刀剣を査定してもらう上で重要になるのが鑑定書です。
鑑定書は日本刀や刀剣のランクを証明するものであり、鑑定書があれば基本的に査定には有利に働きます。
刀装具などがあれば、それもセットにして査定してもらいましょう。
刀装具が無いからと言ってすぐに買取不可になることはありませんが、それを理由に減額される可能性はあります。
- 白鞘(しらさや)
白木という無加工の木材でつくった鞘で、刀身の長期保存に使います。
家庭で保存するときに使い、刀身の寝間着といえる鞘です。
- 拵(こしらえ)
日本刀の外装をさし、鞘・柄・鍔の総称です。
つくられた時代によっては、拵えの美術性の高さから刀身がなくても高い価値を持つ場合があります。
- 笄(こうがい)
鞘の付属品のひとつで、刀の差表にさす装飾品です。
男性が身だしなみを整える道具でもあり、髪かきや耳かきに使いました。
- 小柄(こづか)
脇差の鞘の外側に添える小刀で、木を削るときや緊急時の武器などとして携帯・使用しました。
複数品をまとめて売る
これは日本刀に限ったことではありませんが、品物を査定に出すときは、できれば複数品を一度にまとめてください。
買い取る側としては、少ない手間でできるだけ多くの商品を仕入れたいものですが、そう考えると一度に多くの日本刀や刀剣を査定に出すことによって、印象を良くできる場合があります。
また、買取専門店によってはまとめ買いのキャンペーンを開催していることもあるので、積極的に利用してみましょう。
買取専門店に査定を依頼する
日本刀や刀剣を売却する場合、オークションやフリマアプリでの販売も1つの方法として挙げられますが、可能であれば日本刀や刀剣を専門に取扱っている買取専門店へ査定を依頼するべきでしょう。
前述のとおり手続きも必要となるため、日本刀に関する知識を有したスタッフが在籍しているところが安心です。