美術品や絵画の真贋や価値の査定は難しく、市場価格を反映した適正な査定には豊富な経験や知識が求められます。
残念ながら美術品の価値は素人目にはわかりにくいため、「人から譲り受けた美術品だが価値がわからない」「家を片づけていたら絵画が出てきたがどう売却すればいいのかわからない」といった悩みもよく聞かれます。
ここでは、琳派と呼ばれる意匠を確立した画家であり、屏風絵や工芸品を数多く残した尾形光琳の作品について紹介しています。
尾形光琳作品の買取相場や査定のポイントもまとめているので、参考にしてください。
尾形光琳の作品の買取相場
作品 | 買取相場 |
---|---|
水墨画掛け軸 | 3,000,000~5,000,000円 |
六曲一双屏風 | 500,000~1,000,000円 |
蒔絵硯箱 | 500,000~1,000,000円 |
硯箱 | 500,000~800,000円 |
尾形光琳の作品は、屏風絵が有名で数も多く残されています。しかし、尾形光琳は香包や扇面、団扇、小袖、蒔絵といった工芸品も手掛けています。晩年には水墨画も手掛けて、画家、工芸家として幅広い作品を残しました。
上記で紹介している買取相場は、価格のあくまでも目安と考えてください。正確な査定価格を調べるには、買取専門店に査定を依頼してください。
尾形光琳の代表作品
尾形光琳は、琳派と呼ばれる装飾性、デザイン性に富んだ流派の大家として広く知られています。江戸時代を代表する画家であり、現代まで日本の美術や工芸、意匠に与えた影響は多大です。
ここでは尾形光琳の代表作品と、その特徴について紹介しています。
燕子花図屏風
燕子花図屏風は、伊勢物語の八橋を描いた作品です。池の畔に燕子花が咲いていたとの描写があったことから着想を得て、燕子花を主題に描きました。
左右隻の対照が計算された美しさ、総金地の6曲1双屏風をシンプルかつ大胆に使った構図が印象的な作品です。
群青と緑青のみで濃淡を使って描き出された群生する燕子花は、奥行きも見事です。燕子花図屏風は、尾形光琳が40代前半で手掛けた作品で代表作でもあります。
高価な群青の絵具を多用していることから、特別な注文で作られたと推測されています。
紅白梅図屏風
紅白梅図屏風は、尾形光琳の晩年に手がけた代表作です。国宝にも指定されているため、その名前を聞いたことがある人も多いでしょう。
紅白の梅の花が咲いている様子が左右に描かれ、中心には水流が末広がりに描かれています。
紅白梅図屏風は、俵屋宗達の作風に強く影響された作品としても知られています。尾形光琳が俵屋宗達に私淑して啓発されつつ、独自の画風に到達したことは有名な話です。
紅梅・白梅を画題として二曲一双の左右隻に納める構図はまさにそれといえます。花弁を線で描かない梅花の描き方は、後に光琳梅として長く愛されることになります。
風神雷神図屏風
尾形光琳の作品としても注目されている風神雷神図屏風は、尾形光琳が俵屋宗達の傑作を模倣したものです。重要文化財にも指定されています。
二曲一双の屏風の左隻が足を前に出して雷鼓を打ち鳴らそうとしている雷神。右隻には風を起こすための袋を持った風神が描かれています。
俵屋宗達の作品と大きさは同一ですが、全体の構図や細部の彩色に違いがあり、精緻に写し取りながらも独自性を残した作品です。
その他の作品
日本画家として高名な尾形光琳ですが、幅広い美術品を作成しています。書画作品では、屛風絵や水墨画、版画、工芸品では皿や硯といった作品も残しました。
尾形光琳の作品は文化遺産にも多く登録されています。多岐にわたる作品を残していて、骨董品として尾形光琳の作品を取り扱っている業者も多いはずです。
下記では尾形光琳の有名な作品を記載しているものの、ここではすべてを紹介できないほどの作品を残しています。尾形光琳といわれた作品が、書画作品ではない場合でもまずは買取専門店に査定を依頼することをおすすめします。
書画作品
- 槙楓図
- 孔雀葵花図
- 中村内蔵助像
- 白地秋草模様描絵小袖
- 銹絵松鶴図六角皿
尾形光琳の作品を高く売る方法
尾形光琳が、本格的に芸術家として活躍していた期間はおよそ15年ほどといわれています。希少性が高い尾形光琳の作品が見つかった場合には、驚くような高額での買取も期待できます。ここでは尾形光琳の作品を高く売る方法についてまとめました。
サインを確認する
絵画や工芸品、美術品が出てきたときには、まずサインや落款、銘があるかどうかをチェックしましょう。著名な作家が制作したものであれば、評価や買取価格は跳ね上がります。
サインが残されているのは、箱のふた部分や陶磁器の底部分などです。サインがあるかどうか、あればそのサインの人物が誰であるかを確認しましょう。
早めの売却を心がける
経年で状態が悪化することもあるので、価値が下がる前、できるだけ早めに売却することをおすすめします。骨董品や美術品の中には、完成してから長い年月が経過して壊れやすくなっているものもあります。尾形光琳の作品であれば、江戸時代のものなのでなおさらでしょう。
出てきた骨董品をいずれみてもらおう、使うタイミングがあるかもしれないと自宅で眠らせている人もいるかもしれません。しかし、せっかくの品が少しの移動や衝撃で壊れてしまったり、気温や湿度で劣化してしまうこともあります。
保存状態を良好に保つ
骨董品や美術品は保存状態によっても買取価格が変わります。例えば、気温の変化や湿度、直射日光は大敵。ヒビやワレ、カビや日焼けといったトラブルの原因になります。
尾形光琳の場合は屏風が主な作品です。屏風を保管するには屏風用の桐箱で保管し、天気が良い日に風を通すようにしましょう。
屏風の汚れやシミが気になる場合もあるかもしれません。屏風の汚れやシミは外観を損ねるため、買取価格にも影響します。しかし、屏風の洗浄は高度な専門性、知識が求められるため、洗浄や修復に慣れていないなら避けておいた方が無難です。
尾形光琳の作品であれば希少価値が高くそのままの状態でも高価買取が期待できます。自分で洗浄、修復するよりもそのまま査定に持ち込むようにおすすめします。
付属品を揃えて売却する
骨董品や美術品には、付属品や鑑定書がついていることもあります。骨董品を入れていた箱や鑑定書が残っている場合には必ず一緒に査定に出すようにします。
高名な作者の作品や高価な美術品の中には偽物が作られるものも少なくありません。付属品や鑑定書があることによって、本物であることを示す材料になる可能性があります。
また、付属品をセットにしておくことで査定もスムーズに進みやすくなるでしょう。箱や鑑定書がついている場合には、邪魔だからと処分しないように注意してください。
買取専門店に持ち込む
骨董品や美術品は、どこに持ち込むかも重要です。価値がある品は、審美眼や豊富な経験を持つ専門家でないと正確な価値を算出できないことがあります。
近年は、ネットオークションやフリマアプリ等が普及しているため、自分で買い手を見つけて売ることも可能です。しかし、価値が高い品や希少品であればより目利きできる店に依頼するのをおすすめします。
買取専門店であれば、経験豊富な鑑定士が在籍しているため、高額で売却できる可能性が高いでしょう。なかには、買取査定が無料の店舗もあるのでお試し感覚で利用する方法もあります。
近隣に買取専門店がない場合には、出張買取のサービスを利用しましょう。出張買取であれば持ち運びの際に破損したり紛失したりするリスクも避けられます。