平山郁夫は、広島で生まれ瀬戸内の風景や仏教をモチーフにした絵画で知られる日本画家です。「平山郁夫の絵画を譲り受けたものの、飾る予定がない」「処分するのはもったいないので買い取って欲しい」と考えている人に向けて、平山郁夫の代表作の買取価格をまとめました。
買取相場の情報とあわせて、平山郁夫作品の高額査定のポイントも紹介するので、少しでも高く買い取ってもらうための参考にしてください。
平山郁夫の作品の買取相場
平山郁夫の版画やリトグラフ作品の中から、代表的なものの買取相場を一覧表にしました。保存状態やそのときの需要により買取価格は変化するので、あくまで参考程度に見てください。
▼平山郁夫の作品買取相場一覧
作品名 | 買取相場 |
---|---|
シルクロードを行くキャラバン | 300,000~500,000円 |
仏教伝来 | 410,000円前後 |
交河故城トルファン | 1,100,000円前後 |
アンコールワット | 1,800,000円前後 |
平山郁夫の代表作品
平山郁夫は昭和~平成にかけて活躍した現代日本画家で、文化勲章を受賞しています。仏教的主題やシルクロードの仏教遺跡が題材の作品が多く、自らの被爆体験の記憶を原点にシルクロードの文化遺産保護にも貢献しました。
平山郁夫の作品は、日本画だけでなく水彩画・版画のリトグラフや木版・複製画などがあります。平山郁夫の代表作の特徴や買取価格の目安を紹介します。
シルクロードを行くキャラバン
平山郁夫作品で最も人気が高いものは、シルクロードを描いた作品です。砂漠の船とも呼ばれるらくだを描いた作品は特に高値がつきやすく、「シルクロードを行くキャラバン」の買取相場は300,000~500,000円と高額です。
この作品はオレンジ色の背景が印象的な砂漠の昼間を描いた「東・太陽」と、背景の青色が美しい夜を描いた「西・月」から成り、2008年日中平和条約締結30周年記念の北京展に出品されました。
仏教伝来
玄奘三蔵がシルクロードを旅する様子を思わせる「仏教伝来」は、平山郁夫が第44回院展で初入選した作品であり、日本画家としての出発点かつ原点になった作品です。
中学生の頃の被爆体験から重い放射能障害を生じ、激しい後遺症に苦しみつつも、後世に残る自分の気持ちを注いだ作品を描きたい一心で描き上げた作品です。
院展入選後はみるみるうちに健康が回復し、精力的に活動をするようになりました。美術館に収蔵されており、410,000円前後で売買されています。
入涅槃幻想
「入涅槃幻想」は1961年開催の第46回院展にて大観賞を受賞した作品で、涅槃に入る釈迦を16人の弟子たちが見守る様子を描いています。
平山郁夫作品にたびたび描かれる、平和を象徴するたくさんのハトが釈迦の上を飛び回る様子が印象的な作品です。幻想的な雰囲気の多い平山郁夫作品ですが、こちらは作品タイトルに「幻想」と入れるほどに、より色濃く幻想的な雰囲気を備えています。
入涅槃幻想も、平山郁夫の得意とする仏教をモチーフにした代表作品なので、高価買取を期待できるでしょう。
大唐西域壁画
「大唐西域壁画」は2000年に世界遺産・薬師寺へ奉納された作品で、7場面13枚の全長49mの大きな壁画です。玄奘三蔵の旅行記「大唐西域記」に由来した作品で、取材を含む制作期間約20年かけた大作です。
平山郁夫がシルクロードの旅で得たものを全て注ぎ、スケッチだけで4000枚あるといわれています。
壁画そのものの売買はされていませんが、大唐西域壁画完成記念本の新品は50,000円程度でオークションにてやり取りされています。
交河故城トルファン
「交河故城トルファン」は、トルファンの西側の葉っぱ型をした高台にある南北に1,650mにのびる城跡を描いた作品です。
トルファンとは盆地を意味し、政治や経済、文化の中心地として栄えました。買取相場は1,100,000円前後で、保存状態などにより買取価格は変動します。
アンコールワット
アンコールワットをモチーフにした作品は複数存在し、夕陽・月・朝陽などがあり、平山作品の特徴である岩絵の具を使った赤・黄・青色が美しい作品です。
内戦により荒廃したアンコールワットを救うため、平山郁夫は遺跡調査団団長として現地を取材し、そのときのスケッチをもとにアンコールワット遺跡の作品を描き上げました。
アンコールワットシリーズの買取相場は1,800,000円前後で、作品や需要などにより買取価格は変動しますが高値を期待できます。
平山郁夫の作品の査定ポイント
平山郁夫の作品を少しでも高く売るには、査定のポイントを押さえておきましょう。手元にある売却したい平山郁夫作品が、次の6つのポイントをひとつでも多く押さえていると高値がつくことを期待できます。
描かれている風景や対象物
平山郁夫の作品の人気モチーフはらくだです。シルクロード・神社仏閣・日本の風景などの作品も多数ありますが、らくだの図柄は特に需要が高くなっています。
らくだを描いた作品は、日本画・水彩画・版画のどれも高額査定を期待でき、中でも昼を描いた作品の方が評価が高い傾向があります。
寺社仏閣を描いた作品では日本の法隆寺・薬師寺・金閣・銀閣などが人気で、京都や奈良にある名所の作品は日本画・水彩画のどちらも高い評価を期待できるでしょう。
作品の種類
平山郁夫の作品は、日本画・水彩画・版画・リトグラフなどさまざまな種類があり、制作手法も買取価格を左右するポイントです。
たとえば版画はひとつの原版から複数の絵を刷れますが、日本画や水彩画は唯一の作品であり、より高値がつきやすいと言えます。
しかし版画の中でも原版や1点ものの場合はその希少価値から高額査定の可能性があります。まずは査定へ出してみましょう。
サインや共シール
絵画を額装してあっても、額自体は査定対象にならず値段はつきません。しかし額の裏に作者のサインや作品名がかかれ、さらに印を押したシールが貼ってあると、絵画と額をあわせて高い評価が期待できます。
桐箱に収めた作品の場合は、共箱という木の板にタイトルや作者のサイン、印譜を押してあることがあります。共箱も評価の対象になるので、絵画と一緒に査定へ出しましょう。
また、版画作品はエディションナンバーがついており、本物だと証明する証拠になり、希少価値をアピールできます。
書斎物や書籍の掲載履歴
平山郁夫の作品のうち、美術関連の雑誌や書籍などに掲載された作品は知名度が高く人気があるため、高額査定を期待できます。
平山郁夫自身が出した書籍も多数あり、そこに載っている作品も高価買取の可能性があります。
作品の保存状態
需要があり価値の高い平山郁夫の作品でも、傷・破れ・カビなど保存状態が悪い作品の買取価格は下がってしまいます。
逆に保存状態が良い作品はプラス査定の可能性があるので、平山郁夫の作品が手元にある場合は、箱や額に入れて湿度の高い場所を避け保存しましょう。
すでにカビや汚れがある場合も、自分で調べた方法で取り除こうとすると、かえって作品を傷つけてしまうかもしれません。平山郁夫の作品は一定の需要が見込めるため、カビが生えていても手を加えず、そのまま査定に出しましょう。
付属品の有無
平山郁夫の作品を購入したときについていた、額縁・箱・保証書・鑑定書などもセットで査定に出してください。
特に作者本人のサインが入った箱などは本物だと証明するので、大切に扱いましょう。平山郁夫の作品は複製品や偽物が多数出回っているため、本物であると証明できる作品は買取店が再販するとき価格をつけやすいことから、高値で買取される可能性があります。