着物を華やかに彩る友禅は伝統工芸品として知られており、友禅の着物は買取でも高額が期待できます。

自宅にある友禅を、傷まないうちに売却したいと考える方も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では友禅染め着物の買取相場や、高値になる友禅の特徴、高価買取してもらうためのポイントについて解説していきます。

友禅染め着物の買取相場一覧表

まずは、おもな友禅染め着物の買取相場を確認してみましょう。

友禅の種類	買取相場
京友禅	20,000円～100,000円
加賀友禅	40,000円～130,000円
東京友禅	50,000円～160,000円
十日町友禅	10,000円～70,000円

振袖や訪問着など、着物の種類によっても価格は変わります。加賀友禅や東京友禅は作家ものの作品が多いため、分業制で制作される京友禅に比べると平均的な買取相場は高めです。

しかし、京友禅も作家ものになると非常に高い金額で取引されており、人間国宝が手がけた品は数十万円以上と飛び抜けて高額がつきます。そのため、京友禅は相場の幅が広めです。

高額査定が期待できる友禅の種類

次に、高額になりやすい友禅の種類についてそれぞれ解説します。

京友禅

京友禅は世界的にも有名な、京都生まれの伝統的工芸品です。公家文化を題材にして作られることが多いため、色や模様は、華やかで気品があります。

図案化された模様は品格を表しており、公の場や祝いの席で着るのにもぴったりの友禅です。振袖、留袖にもよく利用されます。買取金額も全体的に高くなる傾向です。

加賀友禅

加賀友禅は石川県金沢市発祥の友禅で、日本三大友禅の一つでもあります。最大の特徴は「加賀五彩」という独特の色彩です。

藍や臙脂色、草色や黄土色、古代紫の5色を使った染色により、落ち着いた雰囲気をかもしだしています。

自然をイメージした柄も特徴で、描かれる草花はどれもリアルです。「ぼかし」と「虫食い」という技法も加賀友禅ならではのニュアンスを生んでいます。

東京友禅

東京友禅も、京友禅や加賀友禅と並ぶ日本三大友禅の一つです。江戸友禅とも呼ばれる通り、江戸の文化をもとにして生まれ広まった友禅でもあります。

デザインも都会である江戸らしく、モダンで落ち着いているのが特徴です。

模様は「釣り船」「千鳥」など風景や生活をテーマにしたものが多く、これらはすべて下絵からたった一人の職人が手書きで仕上げます。

職人の落款や証紙が入ったものも多く、これらは買取市場でも高額です。

十日町友禅

「十日町友禅」は新潟県十日町地方発祥の友禅です。日本三大友禅に比べると歴史が浅く、若い職人も多くいます。

そのため、新しい技法も次々取り入れられ、雰囲気もさまざまなものがあるのが特徴です。

また、他の友禅の多くが工程ごとに分業で作られるのに対し、十日町友禅は工場で一貫生産されます。

買取相場の参考になる友禅の査定ポイントを解説

友禅の査定で確認されるのは、主に次のようなポイントです。

証紙と落款の有無

証紙や落款がある友禅は高値で売れます。証紙や落款は、その友禅についてどの作家が手がけたものかを証明するものです。

特に、有名作家の手がけたものであれば証紙や落款は必ずついています。なくても査定は可能ですが、やや査定価格が下がる傾向にあります。

作家の知名度

友禅の作家には有名作家が多くいるため、知名度が高いほど買取金額が高値になる傾向にあります。

特に、一人の作家が手がける加賀友禅や東京友禅は、分業で作られる京友禅よりも作家名が判明している作品が多いです。

中には人間国宝が手がけた作品もあり、それらは買取金額でもプレミア扱いで取引されます。

また、すでに逝去している作家の古い作品はこれ以上出回らないため特に高額になる傾向です。

保管状態

着物は非常に傷みやすいため、保管状態が買取価格に直結します。たとえ高級な着物であっても、カビやシミなどがあると価格が大きく下がりやすいので注意しましょう。

特に年数の経過した古い着物は保管状態が悪くなりやすいです。たとえば絹であれば変色したり、ウールであれば虫食いにあったりする可能性が高くなります。

これらは一度起こると元に戻せないため、着物にとって致命的です。

丈の違い

着物は着ることを前提に買い取られるため、丈の違いによっても需要が代わり、買取価格に影響します。

もっとも需要が高いのは、多くの人が仕立て直さずに着られる、首から裾までが160cm程度の着物です。

後から仕立て直せる丈が長い着物も需要があります。一方、丈が短い着物は着られる人が限られるため、他に比べるとやや買取価格が控えめです。

友禅染めの着物の買取相場が高くなる理由

着物の中でも、伝統工芸品の友禅染めの買取価格が高額なのは工程に理由があります。友禅には次の2種類があるのが特徴です。

• 模様を手書きする「手描き友禅」
• 型を制作して染める「型友禅」

この2つは、どちらも非常に手間がかかります。手書きの方が時間がかかりますが、型の制作も1枚の着物に対し100以上もの型を作ることがあり、高度な技術が必要です。

また、手書きできる職人や型を作れる職人は数が限られており、量産することができません。

そのため希少性が高く、どちらも買取では高い値段がつきます。中でも人間国宝が関わった友禅となると、他の友禅とは桁が変わるほどの査定額になることもあります。

友禅染めの着物の付加価値を高める保管方法

友禅の着物は繊細なので、着物の付加価値を高めるためにも保管方法には十分に気をつけましょう。保管の際は次のようなことに注意します。

• 湿気の少ない場所に保管する
• 定期的に虫干しして湿気を逃がす
• 直射日光を避ける
• 「たとう紙」で包んで保管する
• 防虫剤を入れる

また、着用時にうっかり汚してしまった場合の対応にも注意が必要です。着物は着用したあと、普通の洋服のように洗濯できません。

また、汚してしまった場合、適当にシミ抜きすると生地を傷めてしまいます。もし汚した場合は次のことを守りましょう。

• 汚れの上から乾いたティッシュで軽く押さえ、水分を吸い取る
• 着物のシミ抜き専門店へ依頼する

友禅染めの着物を高額査定してもらうコツ

友禅染めの着物は高くなりやすいので、一工夫してさらに買取金額を高めましょう。査定を高くするコツは次の通りです。

別の着物と一緒に査定してもらう

着物はまとめ売りすると高額になりやすいです。まとめ売りすることで、買取店によってボーナスをのせてくれることがあります。

着物を売る場合、たまたま著名な作家の作品や、状態の良い着物を持っているとは限りません。

そのようなときにまとめ売りすれば、1着1着は着古して安い値段になってしまう着物でも、ある程度の金額で売却しやすくなるでしょう。

実績豊富な買取専門店を利用する

着物は保管状態で需要が分かれやすいので、販売ルートの多い買取専門店に売却するのがおすすめです。

リサイクルショップでは保管体制が整っていなかったり、需要がなく価格が低めになってしまったりすることがあります。

その点着物売買の実績が豊富な買取専門店であれば、多少状態の悪い着物でも独自の販路にてすぐさばけるため高額がつきやすいです。

まとめ売りによるボーナスもつくので、できるだけ買取専門店での売却をおすすめします。