紬(つむぎ)は伝統工芸品として人気が高く、買取でも高値で取引されます。自宅に使用しない紬があり、売りたい人も多いのではないでしょうか。
紬を高値で売却するためにはコツがあります。そこで、紬の買取相場や高値がつく紬の特徴、買取査定で高値を引き出すポイントについて解説します。
紬(つむぎ)の買取相場一覧表
まずは、紬の一般的な買取相場について確認してみましょう。主な紬の相場は次の通りです。
紬の種類 | 買取相場 |
---|---|
大島紬 | 70,000円~300,000円 |
結城紬 | 30,000円~100,000円 |
塩沢紬 | 10,000円~70,000円 |
牛首紬 | 20,000円~50,000円 |
久米島紬 | 50,000円~100,000円 |
高額査定が期待できる紬の種類
紬にはいくつか種類があり、高額査定が期待できるものも多くあります。それぞれの特徴を解説していきます。
大島紬
大島紬は奄美大島で作られる紬着物です。結城紬や塩沢紬と並んで、「世界三大織物」の1つと言われています。絹100パーセントで作られており、独特の手触りが特徴です。
紬の中でも大島紬の歴史は古く、さかのぼると1300年以上前にもなります。
出回っている数が少ないこともあり非常に希少価値が高く、中には100万円以上する品も存在するほどです。一般的な買取価格は数万円~数十万円程度に留まります。
結城紬
結城紬は、茨城県や栃木県で作られる紬着物です。奈良時代から作られ、本場結城紬はその高度な織り技法により国の「重要無形文化財」に指定されています。
紬の中でも最高級品といわれ、細い糸によりやわらかい手触りを堪能できます。深い藍色をしているのも特徴です。もともと高価なものでもあり、中古になっても需要は高いです。
塩沢紬
塩沢紬は新潟県の魚沼市、塩沢地方を起源としています。新潟県の雪深く長い冬の間、手間ひまかけて作られるのが特徴です。
現在でもわずかな技術者が手作業で生産しており、非常に希少価値の高い品となっています。
高い技術が必要なこともあり伝統工芸品として指定されています。希少さから「幻の紬」と呼ばれることもある品です。
真綿で作られており、表面にはシボがあります。このシボにより、さらりとした独特の肌触りをしているのが魅力の1つです。
牛首紬
牛首紬は、石川県白山市発祥の紬です。大島紬や結城紬と並んで、「日本三大紬」と呼ばれることもあります。
三大紬の三番目にはほかにも塩沢紬や上田紬が候補として挙げられており、常にその座を競っています。
牛首紬の特徴は丈夫で弾力性のある生地です。軽やかな着心地なのにシワになりにくく丈夫な生地は、着物ファンからも高い評価を得ています。
久米島紬
久米島紬は沖縄県の島尻郡久米島町を産地とする紬です。
中国の養蚕技術を学んだ「堂の比屋」という人物が久米島紬を作り、その技術がやがて日本中へと広まって大島紬や結城紬などの元になったといわれています。
久米島紬は沖縄に自生する天然の草木を使用して染められます。この草木染から織りまでをすべてたった1人の職人が手がけるため、非常に価値の高い品です。
なぜ紬の買取相場が違う?査定ポイントを解説
紬はものによって買取相場が異なります。価格を決めるのは、主に次の要素です。
証紙と落款の有無
古い紬は種類によって需要が変わるため、産地や手がけた職人を証明する証紙や落款の有無が価格に直結します。
特に「牛首紬」は生産者が少なく、本物であれば落款や証紙が必ずついています。逆に、それらがないとたとえ本物であっても買取価格が大きく下がりやすいので注意が必要です。
作家の知名度
作家の知名度も価格に影響します。無名の紬が1万円程度に留まる一方、有名作家の紬は、10万円以上の値段がつくことも少なくありません。
また、有名でなくても作家の名前が証紙や落款によって判明していれば、そうでないものより高値が期待できます。
保管状態
紬は湿気や摩擦などに弱いため、保管状態が価格に大きく影響します。
- シミや汚れが目立つ
- 摩擦によって生地が傷んでいる
- カビが生えている
- 変色している
- 虫に食われている
このような保管状態が悪い紬は、数万円以上価格が落ちてしまうこともあるため注意しましょう。通気性のよいたんすの中で丁寧に保管し、たまに虫干しすることが大切です。
丈の違い
紬は鑑賞用ではなく着ることを目的として購入されるため、丈の違いでも需要が変わり査定価格に影響します。
一般的に好まれるのは、160cm以上丈のある、日本人なら誰でも着やすいサイズです。
大きい着物は仕立て直せるため問題ありません。しかし、小さいものは着られる人物が限られるため需要が少なくなります。
付加価値
紬によっては付加価値によって査定額が高くなることもあります。たとえば以下のような場合です。
- その紬の本場で生産されている
- 人気ブランドの製品である
- 特殊な技法や希少価値の高い技法が取り入れられている
- 著名な作家が監修している
付加価値を証明するためにも、証紙や落款は必要不可欠な存在です。
紬の本物と偽物を見分けるポイント
紬には偽物もあります。たとえば「大島紬」と書いてあるのに、実際には大島紬特有の技法をなにも使っていなかったり、そもそも異なる素材でできていたりするものが多数存在します。
これらは一見して素人だと判別しにくいため、見分け方を覚えておきましょう。もっとも簡単なのは証紙を見る方法です。証紙を見て次のことを確認しましょう。
- 経済産業大臣が認定する「伝統マーク」を使用している(伝統工芸品の場合)
- 証紙に検査合格の印がある
- 染め基準を満たした製品には「染め証紙」がついている
証紙が偽造されている場合は、製造者の名前や品質などの表記はあっても検査合格の印まではないことが多いです。
証紙はそれぞれ決まった形式のものがあるので、本物の証紙の見本と見比べるとよりわかりやすいでしょう。
紬をできるだけ高く売る方法
紬は工夫次第で、通常よりも少し高く売ることができます。買取査定額を高めるコツやポイントは次の通りです。
証紙と落款をセットにする
紬に証紙や落款がついている場合は必ずセットで売却しましょう。これらがあるかないかで、買取価格が数万円単位で変わることもあります。
たとえば生産数の少ない工房で作られた希少価値の高い品であっても、証紙がなければそこで作られたことを証明できず、価格に反映されません。
もし証紙を失くした場合は探し出してでもセットにすることをおすすめします。
綺麗な状態で売りに出す
保管状態に注意し、できるだけ綺麗な状態で売却しましょう。特に査定ランクをつけるのに困ったとき、わずかな差がランクを分けることもあります。保管の注意点は次の通りです。
- 桐たんすに保管する
- たとう紙で1着ずつ包む
- 定期的に虫干しする
- 除湿シートを敷く
- 直射日光に当てない
このような注意点を守ることで保管状態をよくできます。
別の着物と一緒に査定してもらう
他の紬や、紬以外の着物、あるいは着物と合わせる帯や小物などとまとめて売却することで、査定価格にボーナスがつきやすくなります。
紬を購入する人は一緒に紬に合う小物も購入して揃えることが多いので、まとめ売りは需要が高いです。
あまり状態の良くない紬や、無名作家の手がけた紬で高価が望めない場合でも買取単価が高くなります。
買取専門店で売却する
紬をはじめ、着物は買取専門店で売却するのがおすすめです。買取専門店はまとめ売りでボーナスがつきやすいため、高値での査定が期待できます。
また、専門の鑑定士が在籍しているので、高価な紬もしっかり見極めて正しい価値で判断してくれるのが魅力です。
販売ルートを多数持っているため、他の店では断られた品でも買い取ってもらいやすいでしょう。