自宅を整理していたら、もう使わなくなった鉄瓶が出てきて、処分に困った経験のある方もいるのではないでしょうか。
鉄瓶はその目的自体はお湯を沸かすという点で急須やヤカンに似通った存在ですが、物によっては非常に高値で取り引きされています。
ここでは鉄瓶の買取相場や価値を上げるためのポイントを紹介します。
鉄瓶の特徴
急須によく似た道具を見つけた場合、茶道具の鉄瓶であれば高く買い取ってもらえる可能性があります。まずは鉄瓶かどうか確認してみましょう。
あられ模様と鉢の形状
鉄瓶によってデザインは異なりますが、日本を代表する鉄瓶の産地である岩手県の「南部鉄瓶」は、表面があられ模様となっていて、さらに全体が鉢のような形をしています。
鉢のような形状は温めたお湯を冷めにくくする工夫です。
鉄製のためサビやすい
鉄製のため保存状態によってサビやすいのも特徴です。古いものや、蔵の奥から発見されたような場合、全体が青緑色になっていることも多々あります。
軽いサビであればお手入れをすることによって、取り除くことが可能です。このとき、洗剤やタワシは鉄瓶を傷めて買取価格を下げてしまうため使わないようにしてください。
内側は茶殻を入れて煮詰めることでサビがとれます。外側は布を緑茶に浸して、ゆっくりふきとりましょう。
鉄瓶と急須の違い
古い急須なのか鉄瓶なのかが判断つかない場合は、内側を見るとわかりやすいです。
急須の内部はホーローでコーティングされていて、鉄瓶はコーティングがありません。
鉄瓶の買取相場一覧表
ここからは鉄瓶の買取査定について紹介します。
自宅で不要になった鉄瓶があり、売却しようと考えているなら、まずは以下の査定表をチェックしてみてください。
▼鉄瓶の買取相場一覧表
名称 | 買取相場 |
---|---|
南部鉄瓶(通常品) 南部鉄瓶(鈴木盛久作) |
3,000~7,000円
20,000~30,000円 |
龍文堂 替蓋付饕餮文鉄瓶 | 200,000~300,000円 |
亀文堂造 金象嵌入鉄瓶 | 100,000~200,000円 |
金寿堂 雨宮宗 丸形鉄瓶 | 300,000~400,000円 |
鉄瓶と言っても、どの工房で作られたのか、そして、誰によって作られたかによって、買取相場に大きな差が生まれます。
また、購入時に保証書などが付属してきた場合は、セットにして査定に出すと買取価格の上昇が見込めます。
価値が付きやすい買取相場の高い鉄瓶
ここでは鉄瓶の中でも特に高値での買取が期待できるものについて、それぞれの特徴を紹介していきます。
龍文堂
京鉄瓶の中の一つである「龍文堂」は、江戸時代を起源とする鉄瓶屋であり、製造は昭和時代まで行われました。
長い期間鉄瓶の製造を行ったわけですが、その中でも明治~大正にかけて製造された鉄瓶は高く評価されています。
龍文堂の鉄瓶の特徴としては装飾性が高いことで知られ、翡翠や金、銀が用いられているものがあります。
亀文堂
「龍文堂」の中でも特に著名な鉄瓶作家であった「龍文堂安之助」を師として仰いでいたのが「波多野正平」です。彼が開いたのが「亀文堂」でした。
亀文堂の鉄瓶は高級路線のものが多かったため、龍文堂と比べるとその歴史は短く、わずか四代しか続きませんでした。
そのため亀文堂の鉄瓶は流通数が絞られ、現在は希少価値が上がっています。
南部鉄瓶
岩手県盛岡市を発祥としているのが「南部鉄瓶」です。この地で良質な鉄が産出されたことで、南部鉄瓶を始めとする南部鉄器が誕生しました。
南部鉄瓶の特徴として錆びにくいことに加え、保温性が高いことが挙げられます。
「龍文堂」や「亀文堂」と比べるとシンプルな装飾で仕上げられている点が評価されています。
京鉄瓶
先ほど紹介した「龍文堂」や「亀文堂」も京鉄瓶の一つであり、その他には「金寿堂」、「金龍堂」が有名工房として知られています。
京鉄瓶の特徴としては、釜底に鳴り金を設え、お湯が沸くと音が鳴ることや、梅の花を模したつまみが蓋についていることが挙げられます。
鉄瓶の中でも工房が特に多いため、それぞれの特徴を楽しむことができるでしょう。
作家物鉄瓶
鉄瓶の中でも有名作家が手掛けたものは「作家物」とされ、デザインが独特なのが特徴です。
骨董品よりアート作品という性質が強い作家物の鉄瓶は、高価なものであれば数百万円の値段で取引されることもあります。
昔の鉄瓶でも買取可能?査定ポイントを解説
次は鉄瓶の査定ポイントを紹介します。
本体の状態
商品の種類に関係なく、査定で重要視されるのは買取商品の状態です。
有名な作家が手掛けた鉄瓶であったとしても、状態が悪ければ残念ながら買取価格は下がってしまいます。
そのため保管状況が重要なのですが、直射日光をできるだけ避け、購入時に外箱が付いてきたらその中に入れて保管しておきましょう。
また、査定に出す際は簡単なクリーニングを行うことをおすすめします。
作家
鉄瓶の世界にもブランドに対する信頼というものがあり、有名作家が手掛けた鉄瓶であれば当然買取価格はアップします。
有名作家が手掛けた鉄瓶を買取査定に出すのであれば、鑑定書などをセットにすると評価がアップします。
買取専門店のスタッフは鑑定書がなくても鉄瓶の真贋を見分けることはできますが、鑑定書を添えたほうが確実です。
デザイン
鉄瓶に対する評価はデザインによっても異なり、高い技術が施されたものであれば高値での買取が期待できます。
鉄瓶でお湯を沸かした場合、持ち手が高音になってしまうためそのまま持てませんが、「袋鉉」という技法が施されている場合、素手でも持つことができます。
そういった一工夫された技法を取り入れている鉄瓶は高額での買取が期待できるでしょう。
付属品の有無
鉄瓶は購入時に外箱や、有名作家が手掛けたものであれば保証書などがセットでついてきます。
それらの付属品がまだ残っているのであれば、セットにして買取査定に出しましょう。
仮に付属品が無かったとしても買取対象にはなりますが、買取査定額ダウンの要因になる場合があります。
鉄瓶の国産と中国製の見分け方
鉄瓶は美術品としての価値も認められていますが、中国産のものにはそのような魅力が薄いものが多くなっています。
中国産の鉄瓶は大量生産によって製造されたものがあり、その結果細部を比較すると日本製のものよりも劣る点がいくつかあるためです。
- 国産のデザインは「清廉」、中国産のデザインは「華美」
- 国産の色味は「深みがある」、中国産の色味は「大味」
手持ちの鉄瓶が国産かどうか、事前にチェックしてみましょう。
鉄瓶をできるだけ高く買い取ってもらうコツ
ここでは鉄瓶を買取査定に出すときに、少しでも高額で買い取ってもらうためのポイントをいくつか紹介します。
手入れをしてから売却する
長年大事に使ってきた道具は適切な手入れをすることによって状態が良くなり、高値での査定が期待できるでしょう。
鉄瓶は長い間使っていると錆が出てしまうことがありますが、正しい方法でお手入れをすることによって、その錆を落とせる場合があります。
ちょっとした錆であればお茶を染み込ませた布でこするだけで落とせますし、頑固な錆は出汁パックに茶葉を入れて煮詰めると綺麗になります。
事前にお手入れをするかどうかで査定が変わってくるので、錆がひどい場合は挑戦してみましょう。
箱や付属品を揃える
鉄瓶を購入したときに箱やその他の付属品が付いていることがありますが、もしそれらが残っているのであれば、セットで査定に出しましょう。
仮にそれらの付属品などが無かったとしても買取自体には応じてもらえますが、完品の方が買取価格は高くなります。
なるべく早めに売却する
鉄瓶を手放すことが決まったら、できるだけ早めに査定を依頼するのも高値で買取してもらう上での一つのポイントです。
鉄瓶は保存状態に問題があると錆などが発生してしまい、商品価値が下がってしまう恐れがあるからです。
目利きのいる買取専門店へ依頼
大事な鉄瓶を少しでも高値で買い取ってもらうためには、「どのお店に査定を依頼するか」も重要な点です。
できれば鉄瓶に関して知識が豊富な目利きのスタッフが在籍し、買取実績も十分な買取専門店に依頼しましょう。