買取市場でも古本の買取は人気があり、取り扱う店舗も多くあります。
しかし、単なる中古本ではなくいわゆる「古書」に分類される書物となると、一転して取り扱う店舗が少なくなりがちです。
手元にある古い書物を売りたいと思っているものの、どうすれば適切な相場で買い取ってもらえるのか、そもそも値段がつくのか気になる方も多いのではないでしょうか。
そこで、古書の定義や買取相場、買取を依頼するときのコツや注意点について解説します。
買取可能な「古書」とは
まずは、「古書」の定義からあらためて確認しておきましょう。「古書」は、古い書物の中でも、なんらかの理由で付加価値(プレミア)がついているものを指します。
単純に古いだけの書物では、「古書」とは呼ばれません。たとえば数百年前に描かれた著名な画家の絵画が数百万円以上で売れるのと同じように、なんらかの理由で注目されている古書は高値で取引されます。
高値がつく主な理由としては、次のようなものがあります。
- 古い時代の書物で、歴史的な価値がある
- 歴史上の偉人、有名人が書いた本である
- 絶版してしまい、もう正規ルートでは手に入らない
- 改定や変更などが加わっていない初版本で、出回っている数が少ない
- 装丁や内容にその時代ならではの特徴があって貴重である
この他にも、さまざまな理由でプレミアがつくことがあります。
古書の買取価格相場
では、骨董的価値のある古書とは具体的にどのくらいの価格で取引されるのでしょうか。古書の買取価格相場や、相場の調べ方について解説します。
古書の買取相場は算出が困難
実は、そもそも古書の買取相場は明確に決まっていないことが多いです。
古書を扱う業者は数が少なく、状態やプレミアの理由、またそのときの需要によっても大きく価値が変動します。
そのため、特定の古書に対して「これはどこの店舗でも○円で売れる」「当店ならこの本を○円で買い取る」といった明確な指針を出している業者はほぼありません。
買取相場は時価になることが多く、鑑定してみて初めて金額が判明します。
骨董価値やコレクター価値の高い古書は高額
買取相場をはっきり算出するのは難しいですが、高値がつきやすい古書の傾向はあります。
古書の中でも、骨董品としての価値が高い古書は需要が高く、買取金額も高値がつきやすいです。また、コレクターからの需要が高い品も高額になります。
中には、1冊で数万円~数十万円するものもあるでしょう。
古書の買取相場の目安を知る方法
特定の古書に関して買取相場を知る方法として、インターネット検索があります。次の手順で調べると、比較的すぐに買取相場や現在の需要がわかるでしょう。
1.名称やJANコード、規格品番を控える
まずは検索するために、古書の正式な名称や、あればJANコード、規格品番などを控えましょう。
2.名称やJANコードなどをWebで検索
次に、控えた古書の名称、JANコードなどその本にまつわる情報を検索しましょう。名称でも検索に引っかからない場合は、著者名や出版元などの名前で検索をかける手もあります。
「○○(古書の名称) 買取相場」や「○○(古書の名称) 落札相場」などのキーワードで検索をかけると価格が出てきやすいでしょう。
3.ネットオークションなどの金額を目安にする
ネットオークションの落札履歴や、現在実施中のオークションの入札額を参考にする手もあります。オークションで目的の古書が出品されたことがあるか、検索ボックスから調べましょう。
4.古書の状態を確認する
古書は状態によって大きく値が変わるため、Web検索によって表示された買取相場の条件と手元の古書を照らし合わせ、よく確認しましょう。
同じタイトルでも、改訂版かどうか、状態は良いかなどで古書の価格が変わることがあります。
古書の買取相場額を決定する5つの要因
古書の買取相場は、希少性や状態など、5つの要素によって買取価格が大きく変動します。古書を売る際には次のことを覚えておくと、高値がつくか判断しやすいでしょう。
希少性の高さ
希少性によって、古書によってはプレミア価格がつきます。
- 初版の数が少ないので貴重である
- 増刷されないまま絶版になってしまった
- 火事や天災などで消失・散逸したものが多い
- もともと出回った数が少ない
このようにさまざまな理由で現存する数が少ない本は、希少性が高いことから高額で取引されます。
古書の状態
古書の状態によって価格が大きく変わってきます。
- 本として通常の利用ができる状態か
- 日焼け、虫食いなどがないか
- 折れや曲がり、破れがないか
- 汚れや書き込みがないか
上記のようなことによって価値が変動します。そのため、売れそうな古書が見つかったらできるだけ丁寧に扱いましょう。
状態のひどいものでも希少性の高いものはある程度の値段がつく可能性もありますが、状態がよいに越したことはありません。
新刊や休刊など
新刊や休刊された雑誌などは需要が高いため、買取価格が高くなる傾向にあります。
新刊は、発売からおおむね3ヶ月以内の品が該当します。これは単純に新しいものなので手に入れたいと思う人が多く、高値がつきやすいです。
一方、休刊・あるいは廃刊になった雑誌は入手方法が限られるため、過去のバックナンバーも含めて高値がつきやすくなります。
改訂版の有無
本によっては初版のあとに何回も改訂を重ねている場合があります。この場合は、古書としては初版の人気が高いことが多く、改訂版は内容が新しいため一般のニーズが高い傾向にあります。
初版は入手難易度が高い上、誤字脱字や内容的に問題のあるものがそのまま出版されてしまうことがあり、その点がかえってコレクターの心をくすぐります。
和書か洋書か
和書か洋書かでも買取相場が変わります。特に専門書は洋書だと安値になってしまう傾向にあります。外国語で書いてあるため、単純に和書よりも需要が少ないのが相場が低くなる理由の1つです。
また、和書に比べると洋書の方が数が圧倒的に多いため、店舗としては扱いにくいという理由もあります。
古書を売るならどの買取業者がおすすめ?
古書や古本を売るならどこがいいのか悩んでしまい、なかなか売却に踏み切れない方も多いかもしれません。古書を誰に買い取ってもらうのか、本買取おすすめの選択肢としては次のようなものがあります。
古本屋
選択肢としてはブックオフや古本市場などの古本屋があります。しかし、古書に関しては古本屋に持ち込みするのはおすすめしません。古本屋の多くは、需要が高くすぐ捌ける品を高額査定する傾向にあります。
古書はあくまで特定の層にのみ人気があるジャンルのため、古本屋では買い取ってもらえないか、価値に見合わない価格になる可能性が高いです。ただし、一部稀少な本に強い古本屋もあります。
総合リサイクルショップ
総合リサイクルショップも、古本屋と同じ理由でおすすめしません。
総合リサイクルショップは古書以外にも数多くの品を扱うため専門知識のある査定員がいるとは限らず、正しい価値で査定してもらえない場合があります。また、全体的に値段も安くなりがちです。
ネットオークション
ネットオークションは古書の流通も比較的多く、買取相場の目安も確認できます。取引手数料以外の金額が手元にまるまる利益として入るのも魅力です。
しかし、個人での取引はトラブルになる可能性もあり、発送や入金までのやりとりに手間もかかります。
また、知識がないと、本当は高価な古書を安く売却してしまう可能性もあるため、注意が必要です。
買取専門店
一番おすすめなのは、古書の扱いに長けた買取専門店です。買取専門店では専門知識のある鑑定士を在籍させていることも多く、古書を正しい価値で判断してくれる可能性が高くなります。
また、取引もその場で完結できるため、トラブルの心配がありません。店頭での持ち込みだけでなく、場合によっては出張買取に対応している店舗もあります。
悩んだ場合はひとまず買取専門店に査定を依頼してみましょう。
古書をできるだけ高く売るコツ
古書を売るときは、少しでも買取金額が高くなるようあらかじめ工夫しておきましょう。場合によっては、次のように少しのコツで買取金額が大幅アップする場合もあります。
古書を綺麗な状態に保つ
古書は文字通り古い品なので、できるだけ綺麗な状態を保ちましょう。
- 日焼けしないように日光の当たらない場所で保管する
- 湿気でカビないようにする
- 虫に食われないように定期的に虫干しする
このような対策をすることで、本を綺麗に保てます。また、本そのものだけでなく、本を保管する場所も丁寧に掃除しましょう。
大揃いにして持ち込む
古書が1冊だけでなく、続巻や別巻などがある場合はすべて揃えて査定に出しましょう。必要なものがすべて揃っている状態の方が、古書はいっそう高く買取してもらえます。
また、買取専門店ではその古書だけでなく、なんらかの他の品物とまとめ売りすることによるボーナスを設定している場合があり、他店よりお得になりやすいでしょう。